2009年1月15日木曜日

2009中国正月映画「非誠勿擾」

中国で昨年12月22日から『非誠勿擾(フェイチェンウーラオ)』が、2009年お正月映画として全国ロードショーが始まり、大ヒットを記録しています。この映画、日本では公開されていないのですが、北海道でもロケが行われたということで新聞報道がされており、タイトルだけご存知の方もいらっしゃると思います。

 この『非誠勿擾』というタイトルの言葉は、よく新聞に掲載される結婚相手の募集広告に「本気でつきあえる人を望む」という意味で使われています。この映画は、中国の山田洋次監督とも呼ばれる、正月映画の旗手・馮小剛(フォン・シャオガン)監督による賀歳片(旧正月に上映する映画)です。過去の作品には、「不見不散(遥かな想い~チャイニーズ・ドリーム in U.S.A) (1998)」、「手機(2003)」などがあり、そこで主演として監督とコンビを組んだ葛優(グォ・ヨウ)、それに馮小剛作品に初登場の舒淇(スー・チー)が演じるビジネスマンとスチュワーデスのラブコメディー映画です。

 過去の恋愛で心に傷を持つ主人公の中年男性がホームページ上で結婚を前提に付き合ってくれる女性を募集し、それに何人もの女性が応募してきて、やがて訳アリの女性と心を通わせていくという物語です。この見どころは、そこで繰り広げられるユーモアやギャグ。そして、舞台がアメリカ、北京、杭州などに移動し、クライマックスに選ばれたのは北海道の神秘的で雄大な自然。監督いわく、この映画を見て「恋愛したい!」と思ってくれればいいと語っているそうですが、杭州や北海道の美しい風景を舞台に面白おかしなセリフが飛び交う中、切ないラブストーリーが繰り広げられます。

 映画前半は中国ロケ。メインロケ地に選んだ杭州では、美しい景色を中心に西湖や西渓湿地など20か所以上で21日間撮影し、20分以上の間映画に映っている他、北京や海口でもロケが行われています。

 そして後半は北海道ロケ。道東オホーツクを中心に、美幌町の美幌峠、弟子屈町の屈斜路湖と摩周湖、オホーツク海岸の北浜駅などで撮影が行われました。海岸沿いのローカル鉄道、岬の突端、クマが出るという美しい渓谷、草原にある一軒の教会など、北海道のロケ地観光が人気を集めそうということです。また、北海道のシーンでは、中国にも短期留学して中国語にも関心が高い土屋貴子さん(本人ブログ:「土屋貴子のTAKOSHI日報」)も登場しています。

 上海の旅行会社によると、円高の影響もあって、春節7日間の休みに日本観光に申し込み者は少なかったが、この『非誠勿擾』が上映され、特に感動的なシーンが多い北海道に魅了された観客は多く、ロケ地めぐりの問い合わせや申し込み者数が増えてきているそうです。

 北海道での撮影メイキングビデオがありましたので、あわせてご紹介します。いずれ、日本で公開されると思いますが、北海道で中国からの観光客誘致を図る上では、必見の映画かもしれません。また、身近なロケ地ということもあって、中国語を勉強している人にとって、中国の笑いのツボや「間」のとり方など、楽しみ方は様々あると思います。